《民法》制限行為能力者④被補助人とは?制限の内容を決めるにも、本人の意思が必要です!

CHECK!
□ 被補助人とは?
□ 本人以外の請求で補助開始の審判はできる?
□ 補助人の同意を要する法律行為は?
□ 補助人は、被補助人に代わって法律行為ができる?

 

確定的な法律行為が制限される制限行為能力者、最後は被補助人についてです!

 

被補助人以外の解説はこちら↓

 

被補助人は、被成年後見人や被保佐人よりも軽症な方が対象で、

被保佐人よりも更に「自分のことは自分で!」の度合いが強いです。

(被成年後見人は、「基本的には代理してもらってね」の考え方で制度設計されています。)

そんな訳で法律行為への制限も控えめ、かつカスタム度が高いのが特徴です。

 

 

 

被補助人とは?

では、被補助人の定義を条文で確認してみましょう!

民法 第15条 補助開始の審判
① 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。(以下略)

「事理を弁識する能力」とは、物事の善し悪しを判断する能力のことです。

被成年後見人の場合は「欠く」、被保佐人の場合は「著しく不十分」と規定されています。

被補助人に関しては、著しくが取れて「不十分」とだけあるので、

被保佐人よりも更に軽度であることが分かりますね。

 

「日常生活は問題ないんだけど、複雑な取引になるとちょっと心配なんだよね…」

というような、軽度の知的障がいの方や、軽い認知症の方を想定していると思われます。

 

また、被補助人となるためには、医師に診断されたら自動で…ではなく、

家庭裁判所での審判が必要になります。(被成年後見人と被保佐人と同じですね!)

 

 

 

本人の関与が必要な被補助人制度

人として生まれた以上、「自分のことは自分で出来る」という自由を持っているのが大原則です。

ですが社会経験の浅い未成年だったり、障がいや病気が原因で正しい判断ができない方に関しては、

「本人を財産損失から守るため」

という立場から、保護者の同意なり代理による関与が必要になる、という制限がかけられます。

こういった私権を制限するものは、なるべく最低限のものでなければなりません。

(本人の自由と、保護のための制限、どうバランスを取るかですね)

 

制限行為能力者の3分類(未成年者を除く)の中で、被補助人は最も軽症の方です。

なので行為能力に対する制限も、なるべく抑えたものでなければなりません。

かと言って全く制限をかけないとなると、本人も家族も心配…ということで

被補助人の制度は、

・個々人の事情に応じて制限をカスタムできる

・本人の意思を介入させる

この2点により、被補助人の自由と、保護のための制限の両立を図っています。

具体的には見ていきましょう♪

 

 

 

補助開始の審判には本人の同意が必要

まずは補助開始の審判を請求する場面です。

前述の民法15条には、続きがあります。

民法 第15条 補助開始の審判
② 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
(以下略)

補助開始の請求は、本人はもちろん、配偶者や四親等内の親族など本人以外でも可能ですが、

本人以外からの請求の場合、本人の同意が必ず要ります。

本人に内緒で勝手に請求、とはいきません。(保佐開始の審判も同じでしたね!)

被保佐人と被補助人は「基本的には自分でできる」が前提となっているので

開始の審判の際に、本人の意思を求めています。

 

 

 

補助人の同意権・代理権付与にも本人の意思がいる

次は補助開始の審判を受ける際に、具体的にどう制限をかけるか決める場面です。

被補助人に関しては制限のカスタム度が高く、

保護者に同意権をつけたり、代理権をつけたり、両方をつけることも可能です。(民法第15条③)

ただし、いずれの場合も必ず本人の意思が必要です。

本人による請求か、もしくは本人の同意を得た上で本人以外の方が請求することになります。

自分のことは自分で決める自由をなるべく尊重するために、

同意権や代理権を勝手に付与することができなくなっています。

 

同意権や代理権を保護者が持つということは、本来単独で自由にできるはずの法律行為が制限されるということです。

保護者の同意がなければダメだったり、代理権をつけられると本人はできなくなったり…。

そこまで重症ではない=手厚い保護の必要性が低い方に、過剰な制限をかけることがないよう

必ず本人の意思を介入させるシステムになっているようです。

 

 

 

保護者の同意を要する法律行為の内容

では、保護者である補助人に同意権を付与する場合、対象となる法律行為はどんなものでしょうか?

被保佐人に関しては、民法13条1項に規定された法律行為全て+αでした。

被補助人に関して、条文をチェックしてみましょう!

民法 第17条 補助人の同意を要する旨の審判等
① 家庭裁判所は、第15条第1項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第13条第1項に規定する行為の一部に限る

大事なのは「ただし」の後です。

被保佐人のように13条1項の規定が関係していますが、

13条1項の各号全ての法律行為ではなく、この中の一部だけが対象となります。

「なるべく制限を控えめにしよう」という意図が感じられますね!

 

そして同条第2項では次のように規定されています。

民法 第17条
② 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。

前述のとおり、本人の請求によるか、もしくは本人の同意を添えて配偶者等が請求することになります。

 

 

 

審判の内容によって取り消しできる法律行為が変わる

被補助人に関しては制限のカスタマイズ度が高いので、

成年被後見人のように、一律で「日常生活に関すること以外は全て取り消し可」、という訳ではありません。

特定の法律行為(=民法13条①の一部)に関して保護者の同意が必要だ、とする審判を受けたのに

補助人の同意を得ずに特定の法律行為をやっちゃった場合、

特定の法律行為に関して補助人を代理人とする審判を受けたのに、被補助人がやっちゃった場合、

これらの場合のみ、その法律行為を取り消すことができます。

 

しかも被補助人の方によって、代理権だけ付けられている方、同意権のみ付けられている方、

もしくはその両方を付けられている方と事情も様々なので

審判の内容によって、取り消しできる法律行為が変わってきます。

 

そして裏をかえせば、それ以外の法律行為は単独で確定的に行うことができます。(=取り消し不可)

 

 

 

まとめ

□ 被補助人とは、軽度の障害がいや認知症などにより、物事の善し悪しを判断する能力が不十分な方
□ 補助開始の審判には、本人が請求するか、本人の同意を得た上で関係者(条文参照)が請求する=本人の意思が必ず要る
□ 補助人に同意権や代理権を付すには、本人の請求か、本人の同意を得た上で関係者が請求する=本人の意思が必ず要る
□ 補助人の同意を要する法律行為は、民法13条①に規定された法律行為の一部
□ 補助人に付与できるのは、同意権のみ、代理権のみ、もしくは両方と、カスタマイズできる

以上、被補助人の要点について書いてきました。

障がいや病気などにより判断能力に欠ける、もしくは不十分な方を対象とした保護制度ですが、

それぞれの特徴をしっかりと押さえて、ごっちゃにならないことが大切です。

…でも、慣れるまではごっちゃになりますよね。(笑)

 

それぞれ制度設計の前提条件が違っているので、そこを押さえるのが良いかなと思います。

具体的には、

成年被後見人→かなり重度なので、基本的には誰かに代わってやってもらう

被保佐人→中等度なので、自分でできないことはないけれど、財産被害が怖いので制限

被補助人→軽度なので時々不安、基本は自分でやってもらうけれどケースに応じて制限

といった感じでしょうか…。

 

次の記事では、それぞれの制限行為能力者の比較を、まとめ記事としてアップしたいと思います!

 

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!m(__)m