《民法》制限行為能力者③被保佐人とは?取り消しできる法律行為はどんなもの?

CHECK!
□ 被保佐人とは?
□ 保佐人の同意を要する法律行為は?
□ 上記の法律行為で、同意がなかった場合はどうなる?
□ 保佐人は、被保佐人に代わって法律行為ができる?

 

制限行為能力者の4分類のうち、未成年者、成年被後見人とみてきました。

 

 

 

今回は、重度の知的障がいや認知症をお持ちの方を想定した成年被後見人よりも、

少し病状が軽く、また行為能力の制限も抑えられた、被保佐人に関してです!

 

 

 

被保佐人とは?

被保佐人の定義を、条文で確認してみましょう!

民法第11条 保佐開始の審判
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない。

また出てきましたね、「事理を弁識する能力」。(笑)

これは物事のよしあしを判断できる能力のことです。

被保佐人に関しては、この能力が備わっているんだけれど十分ではない状態です。

 

成年被後見人に関しては「欠く」と条文で表現されているので、

保佐人の方が、障がいや認知症等の症状としては軽い状態です。

 

とはいえ健常な大人と比べて判断能力に不安があり、

それに付けこんで悪さをしてくる輩から守るために、

被保佐人の方がする法律行為には、制限がかけられることになります。

 

ちなみに被保佐人も、成年被後見人と同様に家庭裁判所の審判が必要です。

認知症を発症したから、と自動的に被保佐人となるわけではありません。

 

 

 

被保佐人と法律行為

成年被後見人は、「保護者に代理でやってもらう」を前提として制度設計されています。

ですが成年被後見人よりも症状が軽い被保佐人に、そこまで強い制限を課す必要はありません。

法律行為に関して、

成年被後見人 → 保護者による代理が基本

被保佐人 → 自分でできるのが基本

と、前提条件が大きく異なることを押さえておきましょう♪

 

では被保佐人の方を守るために、どういった制限がかけられるのでしょう??

 

 

保佐人の同意を要する法律行為・民法13条1項

未成年者を保護するために、法律行為をするには保護者の同意が必要、との規定がありました。

保護者の同意を得ることは保護者の意思を介入させることになり、

それにより未成年者による独断での法律行為を避けることができます。

もし同意がなかった場合は、その法律行為は取り消すことができます。

 

被保佐人の法律行為も、考え方としては未成年者と同様です。

保護者である保佐人の意思を介入させるために同意が必要で、同意なき場合は取り消しができます。

ただし、未成年者と大きく異なるのが、法律行為の内容が限定されることです!

具体的に、条文を確認してみましょう。

民法13条 保佐人の同意を要する行為等
① 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。(以下略)

このように、特定の法律行為だけが制限の対象となり、保佐人の同意が必要となります。

(ちなみに第9条ただし書は、成年被後見人による日用品の購入等は取り消しの対象外、という内容です)

 

1項では制限の対象となる法律行為が具体的に示されています。

少し長くなりますが、記載しておきます。

一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意をすること。
六 相続の承認もしくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申し込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者の法定代理人としてすること。

たくさん難しい言葉が並んでいますが…全て覚える必要はありません!

上記いずれの法律行為も共通するのは被保佐人が財産的に損をする可能性があるという点なので

一つ一つ覚えなくても、この点を押さえておけば問題を解く上では大丈夫だと思います。

 

被保佐人がどう損をするか、具体的に見ていくと、

元本を領収(1号) → 得られるはずの利息が減っちゃうけど、大丈夫かい?

借財又は保証(2号) → 騙されて借金してない?その保証契約、大丈夫かい?

相続の承認や放棄、遺産分割(7号) → 相続することで故人の借金を背負わされてない?他の相続人が得をするために、うまく言いくるめられて相続放棄してない?不利な遺産分割になってない?

等という感じです。

被保佐人の判断能力が十分でないのを悪用して不利な契約を結ばされていないか、

保佐人にチェックしてもらい同意を取り付けましょう、という感じですね。

もし同意がないなら取り消して、財産被害を無かったことにしましょう、てな感じです。(13条4項)

 

そして、これは言い換えると

民法13条1項で挙げられている法律行為以外は保佐人の同意なしで、

被保佐人単独でOKということです!(=取り消しできない)

 

 

 

プラスαでカスタマイズも可能

13条1項で具体的な法律行為が列挙されていますが、

これらに追加して、同意を要する法律行為として家庭裁判所の審判を得ることも可能です。

民法13条
② 家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐管理人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。

13条1項で挙げられている行為は絶対で、それにプラスする形でカスタムできます。

ただ、何でもかんでも追加できる訳ではなく、

日用品の購入など日常生活に関する行為は対象外です。

(日用品の買い物は成年被後見人であってもOKなので、それを被保佐人で制限する訳にはいきませんよね?)

 

 

 

保佐人が代理権を獲得するには?

これまで書いてきた「同意」とは、

保護者である保佐人にOKをもらうことで、法律行為は被保佐人自身が行う話です。

 

もう一つ、制限行為能力者の方を保護するための方法として、「代理」があります。

正常な判断ができない成年被後見人は代理による法律行為が前提となっていて、

保護者である後見人の同意をもらっても、確定的な法律行為はできません。(=取り消しできる)

つまり成年後見人には代理権が当たり前に備わっています。(民法第859条①)

 

では、被保佐人はどうでしょう?

民法第876条の4 保佐人に代理権を付与する旨の審判
① 家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
② 本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。

「請求によって」「代理権を付与する旨の審判をすることができる」とあるので、

保佐人は元々、代理権を持っていません。

この記事の始めの方で

成年被後見人 → 保護者による代理が基本

被保佐人 → 自分でできるのが基本

というのが大きな違いだと書きましたが、まさにこれです!

 

保佐人の代理権は、あえて請求をしなければもらえませんし、

もらえても対象となるのは「特定の法律行為」であって、「全ての法律行為」ではありません。

 

また、保佐人や保佐監督人(つまり、本人以外の人)からの請求の場合、

審判には本人の同意が必要で、被保佐人の意思を無視して、保佐人が勝手に代理権を持つことはできません。

 

障がいや病状がそこまで深刻でないのであれば強い制限も必要ないので、

なるべく被保佐人ご本人の意思を尊重したい、ということですね(^^)

 

 

 

 

まとめ

では、被保佐人と法律行為に関して、まとめです!

□ 被保佐人とは、中等症の障がいや認知症等で、物事のよしあしを判断する能力が著しく不十分な方
□ 保佐人の同意が必要な法律行為は、民法第13条1項で列挙されたもの全て
□ 上記に加えて、家庭裁判所の審判により追加することも可能(ただし、日常生活に関する法律行為を除く)
□ 民法第13条①+αの法律行為は、保佐人の同意なき場合は取り消しできる(それ以外は取り消し不可
□ 保佐人が代理権を持つためには家庭裁判所の審判が必要で、本人以外の請求の場合、本人の同意を要する

被保佐人の場合、一般的な判断能力より劣るものの、全くないという訳ではないので

民法13条①+α以外の法律行為は単独でOK(=取り消しできない)だったり、

保護者である保佐人には元々は代理権がなかったり、

代理権を付与するにしても本人の意思が必要だったり(本人からの請求or本人の同意が必要)…

保護しなければいけない存在なんだけれど、でもなるべく制限を抑えて、

経済活動の自由と保護のバランスを取ろうとしている印象です(^^)

なるべく制限は少ない方が良いですもんね。

 

さぁ、次回は被保佐人よりも更に障害や病状の程度が軽い方を対象とした、被補助人についてです!

被保佐人よりも更に制限が緩和されているのは、ご想像できるかと思います(^^)

具体的にどう違ってくるのか…!?

また記事にまとめたいと思います!

 

 

 

長くなってしまいましたが、

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!