《民法》制限行為能力者①未成年者の法律行為、取り消しできるケースと例外

CHECK!
□ 行為能力って?
□ 未成年者の法律行為は取り消しできる?
□ 例外的に、未成年者が単独で行っても取り消しできないケースは?

 

子どもの頃、何をするにしても「保護者の同意」を求められませんでしたか?

例えばスマホゲームの課金にしても、「未成年者は保護者の同意を得てください」みたいな言葉があると思います。

↓こんな感じで。(ほしの島のにゃんこ より)

社会経験に乏しい未成年者を保護するために、保護者の介入を求めているのです。

 

民法では、特定の方々を財産被害から保護するための規定を設けています。

特定の方々とは具体的に言うと

  • 未成年者(18歳未満)
  • 成年被後見人
  • 被保佐人
  • 被補助人

です。

これらの方々を、「制限行為能力者」といいます。

 

 

「制限行為能力者」とは?

制限行為能力者とは、行為能力が制限された方のことです。

…そのまんまじゃないか。(笑)

行為能力というのは、自らの行為により法律行為の効果を確定的に自己に帰属させる能力です。

(LEC 司法書士 合格ゾーン 民法Ⅰ・根本正次先生 著 より抜粋)

…うーん、難しい。(苦笑)

 

イメージしやすい法律行為といえば、売買契約ですね。

物を売ります、買いますという契約を、自分一人で、自分のために確定的にできる能力のことです。

売買契約は、契約書に実印を押すような不動産や自動車の購入に限らず、

スーパーで卵を買うことも立派な売買契約=法律行為になります。

 

民法では未成年者を制限行為能力者としており、

自分一人では確定的な法律行為を行うことができないことになっています。

 

 

 

未成年者をどう保護するか?

未成年者は「制限行為能力者」として、本来、自由にできるはずの経済活動を制限されることになります。

でもその制限は差別でも意地悪でも何でもなくて、

社会経験が乏しく、判断能力も未熟な未成年者が

悪い大人につけこまれて損害を被ることがないように制限がかけられています。

 

では、具体的にどういう方法で財産被害から未成年者を守るのでしょうか?

条文で確認してみましょう!

民法5条
① 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。(以下略)
② 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
③ (省略)

未成年者が法律行為をする場合は、まずは法定代理人(保護者)の同意が必要です。

そして、同意なく未成年者が単独で行ってしまった場合は、取り消すことができます。

 

前述のとおり、法律行為の身近な具体例といえば売買契約ですが、

法定代理人の同意が必要となれば、保護者の方が契約内容を確認するはずです。

契約の条件が良ければ保護者の方もOKするでしょうし、良くなければ同意をしないでしょう。

契約を結ぶのは未成年者であっても、保護者が同意する形で介入しているので確定的に法律行為ができます。

ですが未成年者が独断で売買契約を結んでしまった場合、

悪い大人に騙されて、かなり悪条件での契約の可能性もあります。

だとしたら、まだまだ社会経験の浅い未成年者に酷な結果となりますよね…。

 

そのため、

保護者の意思介入がなされていない=同意がない法律行為は取り消しができる

と規定されていて、これによって未成年者の保護を図っています。

 

 

ちなみに、制限行為能力者の用語説明のところで「確定的」と書きましたが、

それは言い換えると「取り消しができる状態ではない」ということになります。

 

 

 

未成年者の法律行為、取り消し不可の例外は?

単独では、確定的な法律行為ができない未成年者ですが

かといって、何でもかんでも「保護者の同意がないから」と取り消しができるわけではありません。

 

先ほどご紹介した民法5条には続きがあります。

条文を確認してみましょう♪

民法5条
① 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
② 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
③ 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

例外①シンプルに「貰える」or「債務がなくなる」

まずは1項の「ただし」の後に注目してみましょう。

「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」とあります。

簡単に言うと、「シンプルに何か貰える、又は義務から解放される」といった感じです。

 

5条の規定は、未成年者に損をさせないために設けられたものなので、

未成年者が純粋に得をするようであれば、そもそも法定代理人の同意を求める必要もなく、

単独でやってもOKにしましょう!という感じです。

※OKということは、確定的で、取り消しができないということです

具体例で言えば、純粋に何か貰うだけの「贈与」は未成年者単独でもOKですが、

「負担付き贈与」という、未成年者からも何かをしなければいけない贈与は、保護者の関与が必要です。

 

 

例外②法定代理人が目的を定めて渡したお金を、目的の範囲内で遣う

次に3項前半で規定されている

「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、

その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。」

というのは、例えばですが

遠足のおやつを買うために300円を子どもに渡して、それでちゃんと遠足のおやつを買うならば、

何を買おうと子どもは単独でお買い物ができる、ということですね。(笑)

 

 

例外③法定代理人からもらったお小遣いの範囲内

後半の

「目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする」

は、お小遣いが分かりやすい事例だと思います。

「服を買おうがマンガを買おうが任せるけど、お小遣いの範囲内でね。」てな感じですね。

 

3項の規定は、目的を定めてお金を渡した時点で、又は目的を定めずにお金を渡した時点で、

法定代理人の同意に近いものが形成されているので、あえて改めて同意を得る必要はない、という趣旨かなと思います。

具体例として挙げたお小遣いであれば、財産被害もそう大きくはありませんしね。

 

ちなみに繰り返しですが、「単独でできる」ということは「取り消しができない」ということです。

親から「遠足のおやつ代ね」と渡された300円を握りしめて、それでバナナを買ったところ、

「バナナはおやつじゃないからダメ!」と親に激怒されても、未成年者を理由に取り消しはできないんですね…。

(今のご時世、衛生面で食品の返品もシビアだしね…完全に余談だけど)

 

 

例外④営業活動に関しては「成人」扱い

もう一つ、例外に関して規定した条文があります。

第6条
① 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
② (省略)

商売上は、未成年者であっても法定代理人の同意を必要としないよ、ということです。

 

商売を任されているのに、いちいち

「これ売って良い?」「これ仕入れて良い?」

なんて保護者に確認していたら、効率悪すぎますし、

取引の相手も、いつ未成年者を理由に取消しされるか不安で、たまったもんじゃありません。

安定した営業活動のために、許可されて商売をする以上は、大人として扱いますよ、ということですね。

 

 

 

まとめ

では、未成年者の法律行為に関して、まとめです!

□ 行為能力とは、確定的な(=取り消し不可)な法律行為を自分自身でできる能力
□ 未成年者が法定代理人の同意なく行った法律行為は取り消しができる。→ 未成年者を財産損害から守る!
□ 保護者の同意がなくても単独でできる例外的な行為(= 未成年を理由とした取り消しは不可)
① 単に権利を得、又は義務を免れる法律行為(→ 未成年者が得しかしないから)
② 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産を、その目的の範囲内で処分する
③ 目的を定めないで処分を許した財産を処分する(例:お小遣い)
④ 許可された営業に関する法律行為

何度も繰り返しますが、例外に関しては

法定代理人の同意が不要なだけでなく、取り消しもできないことに注意しましょう!

(ここ、結構ごっちゃになるポイントなので…)

未成年者を題材にした問題では、「取り消しができるか、できないか」が結構問われます。

原則の主旨を押さえた上で、例外もしっかり覚えておくと安心です(^^)

 

ちなみに、条文でも「取り消すことができる」とありますので、

「取り消さなければならない」ということではありません。

あくまで「取り消しという選択肢もありますよ」ということなので、

条件が良ければ、そのまま取引を継続しても全く問題ありません。

(取引相手を保護するために「私、取り消しません!」と宣言する「追認」という方法もあります)

取り消されるまでは「有効」なので、そもそも「無効」と異なることに注意が必要です。

(追認や、取り消しと無効の違いは、またの機会に…)

 

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございました!