《民法》制限行為能力者⑤成年被後見人、被保佐人、被補助人…それぞれを比較して理解を深めよう!

単独で確定的に法律行為ができる「行為能力」を制限された方について、

未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人と記事にしてきました。

 

未成年者を除いた成年被後見人、被保佐人、被補助人って、

なんだかゴチャゴチャになりませんか!?

私はそれぞれの特徴が混ざってしまって、なかなか整理できませんでした。(^^;

 

そんな訳で今回は、成年被後見人、被保佐人、被補助人の3パターンについて、

ポイントごとにそれぞれの特徴を押さえた、まとめ記事を書いていこうと思います!

…もしかすると、個別の解説記事を書いた意味がなくなるかもしれませんが…(笑)

 

個別の解説記事を読んだ後の、総まとめとしてご活用いただけると嬉しいです!

 

 

 

 

成年被後見人・被保佐人・被補助人の違いを押さえよう!

制度の前提にある考え方

まずはそれぞれの制度についてポイントごとに見ていく前に、

制度が前提としている考え方について押さえておきましょう!

 

個別の記事でも書かせていただきましたが、

成年被後見人、被保佐人、被補助人の3つに関しては、

前提となる考え方が異なっています。

これを押さえておくと、違いを理解する上での手助けになると思います。(^^)

 

まず重度の障がい者や認知症の方を想定した成年被後見人に関しては、

基本的には代理人やってもらう、例外を除いて自分ではできない

という考え方が前提にあります。

 

そして被保佐人と被補助人に関しては、成年被後見人よりも症状は軽いので

基本的には自分でやってもらう、個々の能力に応じて代理人にやってもらう

という考え方に基づいて制度設計がされています。

 

 

 

比較① 事理を弁識する能力の程度

それぞれを定義するにあたり、事理を弁識する能力がどの程度なのか条文に規定されています。

一字一句覚える必要はありませんが、太字の部分だけでも覚えておきましょう♪

 

成年被後見人 → 事理を弁識する能力を欠く常況にある(第7条)

被保佐人 → 事理を弁識する能力が著しく不十分である(第11条)

被補助人 → 事理を弁識する能力が不十分である(第15条①)

 

事理を弁識する能力とは、物事の善し悪しを判断する能力のこと。

正常な判断能力と言い換えてみても良いかもしれませんね。

成年被後見人から被補助人にかけて、だんだんと症状が軽くなっていることをイメージしておきましょう!

 

 

 

比較② 取り消しできる法律行為

次は、それぞれの制限行為能力者が単独でできる法律行為と、できない法律行為についてです。

単独でできる法律行為は、言い換えると取り消しができない法律行為です。

単独でできない法律行為は、取り消しができる法律行為ということになります。

 

取り消しできるかどうかであって、有効か無効かということではありません。

イメージとしては、ガチッと固まった法律行為ができるか、

グラグラと不安定な法律行為しかできないか、という感じです。

ガチッと固まってる方は、安定して固まっちゃってるので取り消しできません。

グラグラな方は、不安定なので取り消して無かったことにできます。

…そんな感じです。(笑)

 

では、それぞれの制限行為能力者で取り消しができる法律行為をまとめてみます!

成年被後見人 → 本人が行った法律行為全て(ただし日常生活に関する法律行為は取り消しできない)(9条)

被保佐人 → 民法第13条1項に規定された法律行為全て(日常生活に関するものを除く)(13条①、④)

上記以外の特定の法律行為(日常生活に関するものを除く)=別途審判が必要(13条②)

被補助人 → 民法第13条1項に規定された法律行為のうちの一部(17条①、④)

 

ちなみに民法13条①には、財産的に大きく損をする可能性のある法律行為が規定されています。

 

 

 

比較③ 保護者の同意権

障がいや病気が原因で正常な判断が難しい方が法律行為を行う場合に、

保護者の方の関与の仕方の一つとして「同意」というものがあります。

具体的には、事前に契約内容等を保護者の方が確認して

「これならOKだよ」

という風に許可する感じです。

正常な判断が難しいのだから、制限行為能力者の方単独での判断はさせず、

保護者の方の意思を介入させた上で、制限行為能力者の方が法律行為をします。

 

そう、同意権のポイントは、制限行為能力者が法律行為をするということ!

 

なので、制限行為能力者それぞれの保護者が同意権を持つかどうかについては…

 

成年後見人 → 同意権なし

保佐人 → 同意権あり(保佐開始の審判で自動的に付属)

補助人 → 同意権あり(補助開始の審判と同時に任意で付属させることができる)

 

前提となる考え方の所での説明がここに繋がってきます。

成年被後見人は「基本は代理、自分でできない」が前提なので、保護者の同意があるかどうかは関係ありません。

(重度の認知症の方だと、そもそも同意を得たことや同意の内容を忘れている可能性があるので…)

 

保佐人に関しては、保佐開始の審判で自動的に同意権が付いてきます。

13条①で規定された法律行為+αで、保佐人の同意が必要になります。

 

補助人に関しては、補助開始の審判と同時に

同意権の付与or代理権の付与の審判をしなければならないと規定されているので(15条③)

別途請求をすれば補助人が代理権を得ることはできます。

保佐人のように、自動的にはついてきません。

そして同意できるのは、13条①で規定された法律行為の一部です。

 

 

 

比較④ 保護者の代理権

次なる保護者の関与の仕方は、「代理」です。

「同意」は、保護者の意思を携えて本人がやること、

「代理」は、保護者が制限行為能力者本人に代わって法律行為を行うことです。

 

なので、

 

成年後見人 → 代理権あり(後見開始の審判で自動的に付属)(859条①)

保佐人 → 基本は代理権なし(別途請求によって得ることは可能、ただし本人の同意が必要)(876条の4①)

補助人 → 基本は代理権なし(補助開始の審判時に請求によって得ることは可能、ただし本人の同意が必要)(876条の9①)

 

ということになります。

成年被後見人は「誰かに代わりにやってもらって」が前提なので、保護者が代理権を持つのは当然ですね!

被保佐人と被補助人は「基本は自分でやる」スタンスなので、必要であれば代理権を付けることも可能です。

ただ勝手に付けることはできず、本人の同意が必要です。

 

 

 

比較⑤ 本人の同意が必要な審判

制限行為能力者の制度は、いくら本人保護のためとはいえ

自由に経済活動を行うことを制限してしまいます。(取り消しできる、不安定な契約しかできない)

制限はなるべく抑えたい、でも本人の保護のために制限しなきゃいけない時もある…

そのため自由と制限のバランスを取るために、制限行為能力者本人の意思を必要とする場面がいくつかあります。

最後にそこを比較して見てみましょう!

 

成年被後見人 → なし

被保佐人 → 保佐人に代理権を付与する審判を、本人以外の人が請求するとき(876条の4②)

被補助人 → 補助開始の審判を、本人以外の人が請求するとき(15条②)

補助人に代理権を付与する審判を、本人以外の人が請求するとき(876条の9②)

 

事理を弁識する能力があるほど、本人の意思を必要とする場面が多くなります。

この本人の同意を要する場面は、結構問われるので押さえておきましょう!

 

 

 

まとめ

制限行為能力者制度に関して、

試験で問われやすいポイントを比較しながらまとめてみました。

 

何となく、イメージはつかめましたでしょうか…?

 

試験問題では、「例外」や「それぞれの違い」を問うてくることも多いので

成年被後見人、被保佐人、被補助人と比較しながら整理しておくとベストです。

特に

成年被後見人も日常生活に関する法律行為は取り消しできない

補助開始の審判には本人の同意が必要

この二つは過去問題でも見たことがあるので、必ず押さえておきましょう!

 

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございました!m(__)m