《民法》制限行為能力者②成年被後見人って?法律行為の取り消しはどうなる?

CHECK!
□ 成年被後見人とは?
□ 成年被後見人が行った法律行為はどうなる?
□ 成年被後見人の法律行為で、取り消しができないものは?

 

ひとつ前の記事で、未成年者の法律行為について記事にしました。

社会経験が浅い未成年者を、財産被害から守るための制度でした。

 

 

今度はその大人版。

18歳以上であっても、保護してあげた方が良い方々=制限行為能力者となる方がいます。

具体的には、知的障がいをお持ちの方、認知症を患っている方です。

急速に高齢化が進む日本においては、

今後さらに認知症の患者さんが増えていくと思われるので、

こうした成人向けの保護制度の重要性が増してくるのではないかと思います。

 

民法では制限行為能力者を4つに分類しており、

その一つが未成年者で、その他に

・成年被後見人

・被保佐人

・被補助人

の3パターンがあります。

上から順に、障がいや認知症の症状が重い方を想定しており、

それだけ保護の必要性が高く、つまり行為能力の制限も強くなっています。

 

今回は成年被後見人について、試験で必要なポイントを記事にしたいと思います!

 

 

成年被後見人とは?

まずは、成年被後見人とはどのような方なのか、条文で確認してみましょう!

民法第7条 後見開始の審判
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

障がいがあったり認知症を患っているからといって、自動的に成年被後見人になるわけではありません。

条文中にもあるように、家庭裁判所による審判が必要です。

実際、夫の親族に重度の認知症を患っている方がいますが、後見人制度は利用していません。

そんなに財産がないからです。←めっちゃ失礼(^^;

そもそも、こういった制度があることを家族がご存知でない可能性も考えられます。

 

で、具体的にどういった状態の方が成年被後見人となるのかというと、

事理を弁識する能力 → 物事のよしあしを判断できる能力

欠く常況 →「たまに」ではなく「常に欠いている」状態

の方で、重度の知的障がいをお持ちの方や、重度の認知症の方が挙げられます。

正常な判断ができないため、一人で法律行為(売買取引など)をするのが危険な状態です。

 

 

 

成年被後見人が行った法律行為はどうなる?

制限行為能力者である未成年者が法律行為を行った場合、

保護者の同意がなければ取り消しができました。(=同意があれば、取り消せません)

 

では、成年被後見人の方が行った法律行為は、どうなるのでしょうか?

条文では、こう書かれています。

民法第9条
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。(以下略)

「同意を要する」などの条件も何もなく、シンプルに「取り消しができる」とあります。

そうなんです。

成年被後見人による法律行為は、原則、取り消すことができます。

 

 

同意があっても取り消せる?

成年後見人(保護者)が同意をした法律行為はどうなのかというと、

同意があったとしても、成年被後見人の法律行為は取り消しできます。

 

成年被後見人となる方は、認知症の病状も重いため

・同意の内容を正しく把握できるかどうか分からない

・そもそも同意を得たことを忘れているかもしれない

といったことが考えられます。

なので同意があっても関係なく、取り消しができます。

 

成年被後見人は、制限行為能力者の中で最も症状が深刻な方なので、

財産に関する法律行為は、保護者にやってもらいましょう(代理)

という感じで制度設計されています。(民法859条1項)

同意があれば確定的に法律行為ができる(=取り消しできない)未成年者との、大きな違いですね。

 

 

 

成年被後見人単独での法律行為は全てNG?

病状が深刻であるため、そこに付けこんで悪さをする人がいるかもしれないので

成年被後見人の方はしっかりと保護してあげなければならない存在です。

そのため、行為能力の制限も厳しくなっています。

 

ただ、全ての法律行為が単独でできない訳ではありません。

先ほどの民法9条には続きがあります!

民法第9条
(省略)ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

スーパーで食材を買ったり、ドラッグストアで洗剤を買ったり、公共料金を支払ったりすることは、

成年被後見人の方が単独で行うことができます。

何でもかんでも代理人にやってもらう、では制限が強すぎるので、

財産被害としても大きくなりにくい日用品の購入に関しては、まぁ大丈夫でしょう、ということですね。

 

単独でOKということは、取り消しできないということです。

原則的には取り消せる、日用品の購入は取り消しができない、と押さえておきましょう!

 

 

 

まとめ

では、成年被後見人の法律行為に関して、まとめです!

□ 成年被後見人とは、重い認知症の方など、事理を弁識する能力を欠く常況にある方のこと
□ 成年被後見人が行った法律行為は原則的に取り消しができる
□ たとえ保護者の同意があったとしても取り消しできる(成年後見人に同意権なし
□ ただし、日用品の購入や公共料金の支払い等は単独でできる=取り消しできない

未成年者の記事でも書きましたが、

単独でできるということは取り消しができないということです。

 

また、取り消しができる法律行為も、取り消しが「できる」状態なだけであって、

無効な法律行為ではない、というところに注意が必要です

認めることもできるし(追認)、取り消すこともできるので、不安定な状態であることに変わりはないですが…。

 

成年被後見人に関しては、原則と例外を押さえておけば大丈夫かなと思います!(^^)

法律は、原則を先に書いて、「ただし」の後で例外を書いてきます。

そして「ただし」の後が試験によく出てくる印象なので、

原則を押さえつつ、例外もしっかりと覚えておいてくださいね♪

 

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!